地の目直し工程
大阪紳士服団地スポンジャー工場には地の目直しとして2台の機械があります。着分用と原反用です。
着分用
原反用
両方の機械とも動作原理はシンプルなのですが、非常に高価な機械でして、長年にわたり、修理、手入れをして使い込んでおります。
高級商品を仕立てる人の思いを抱いて1着1着、1反1反丁寧に作業に当たっております。
特に格子柄には要望が多いです。
1.着分の地の目直し
格子柄の場合はよくわかりますが、横糸が曲がったままの生地が多々あります。
どうしても地の目直しが必要です。
作業工程紹介
1状態確認
生地の斜行、湾曲、耳際の局部的な曲がりなど、お預かりした着分の状態を取りかかる前に確認します。
2生地のセット
生地を機械にまずセットして、赤のレーザービームに沿って横糸を整えます。
その状態でピン止め等で固定して、約50センチほど進めてロールに巻き込みます。
当然、縦糸の流れにも注意します。
3地の目修正
②の工程を端まで繰り返していきます。
4最終工程
セットし終わりましたら、ドラムの中でスチームを出し、2,3分間蒸らしたのち、10~15分ほどバキュームを引きます。
5最終確認
生地を取りだして最終確認をします。
2.原反地の目直し
当初の工程に入っていない場合でも検反工程の最中で必要性が指摘されることもあります。
作業工程紹介
1状態確認
直前に検反工程で巻物からほどく状況で前もって情報を得ます。
2地の目修正
専用の機械にセットします。赤のマーキングに併せて生地をロールに巻き付けていきますが、一定のスピードの中で微妙な横糸の流れを調整していくために長年の経験による職人技が要求されます。
作業者の右手、左手の微妙なハンドルさばきが求められます。
3最終工程
セットし終わりましたらドラムの中でスチームを出し、2,3分蒸らした後、10~15分ほどでしてバキュームをひき、しばらくねかした後に取りだしていきます。
4最終確認
生地を取り出すときに地の目の状態を確認する
- 地の目直しとは
生地を裁断、縫製する前に布目を整えてゆがみを戻すことです。目を整えることでごわごわした風合いをソフトにする役割もあります。
生地は縦糸に横糸を織り込んで作られます。勿論、横糸が水平に、縦糸が垂直に織られるのが理想ですが、実際には生地が織られる過程でどうしてもゆがみが生じます。
また、生地の種類により、程度の差はありますが、たたまれたり、巻かれたりする過程でも生地にテンションがかかり、ゆがみが生じます。ゆがんだまま裁断して縫製すると洗濯することで縮みや型崩れが起こったりします。機械の力や長い時間をかけてゆがんだ物などは手で引っ張っただけではなおりません。ウールは蒸気を当てると元に戻ろうとしますので、その原理を応用して地の目をなおします。